スルーダブテールジョイントで箱組

現在、古民具の裁板をミシン台に作り替えるリメイクを急いで進めているのですが、その工程で箱状に木材を組んだので今回はそれについてご紹介します。


木材を組んで箱状にするには色々な方法があります。

一番簡単なのは木材の組み立てたい箇所にボンドを塗って接着してしまうことでしょう。
同じ様にボンドを使って貼り付ける場合も、留(とめ)といって斜め45度に材料を切って貼り合わせれば、木材の断面が表に現れない為、より綺麗に接着することができます。

それより強度が必要だったら釘や木ねじ(ビス)で組むこともできます。
釘やビスで固定すると表に釘やビスの頭が見えてしまいますので、それでは見栄えが悪いということで埋木(うめき)といって上から栓をしてビスの頭を隠してしまうこともできます。

ビスを使わず組むのであれば、円柱状の木材を接着面に挟み込んでからボンドで接着するダボを用いた方法、雇い実(やといざね)を用いた方法等が手軽です。

手軽さでは劣るかもしれませんが、昔から世界各国で使われてきた方法もあります。
それはほぞとほぞ穴やあられ組などといった仕口を板に作り、接着剤を併用して組み立てる方法です。

今回は蟻組という組手で箱を組みました。
この組み手は英語だとdovetailと呼ばれたりします。

以下が仕口(木を組合わせる箇所の細工)の写真です。




この材料は、もともとお持ち込み頂いた裁板の天板の一部から製材して取り出しました。
(本来は全部同じ材料で組みたかったのですが、材料がそこから取れず予算の関係もあり見えにくい部分一枚だけ白い材料になっています)



これを既存の引き出しの上に乗せ、接着して固定する関係で通常の組み方とはちょっと変わった形になっています。
完成した際にこの箱がどこに入るかも紹介できればと思います。

今回はLEIGHというメーカーのD4Rという治具とルーターを用いて加工してみました。
海外のFinewoodworkingという木工雑誌でも一番の評価を受けていた治具で、調整がきちんとできると精度の高い加工が可能です。
日本ではオフコーポレーションというショッピングサイト等で買うことができます。


最後に、木組みについてもっと知りたいという方向けに以下の本二冊をご紹介します。

まずは「木組み・継手と組み手の技法」という本です。
写真が豊富で、サイズも大きくカラフルで読みやすいです。建築で用いる木組みから後半では建具の組み手まで満遍なく載っています。
当店の工房にもありますが、読みやすいので作業の合間や休憩の際に手に取って読んでいます。



次にこの本ですが、こちらは上の本に比べればサンプル数も少なく白黒で少し取っ付きにくいところがあるかもしれません。
しかしほぞの度試験の結果写真やそれについての考察などもあり、隠し口の利点や欠点がよくわかります。こちらもかなり興味深い内容です。

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