丸のこやトリマービットなどのヤニとり


今回の記事では主に電動工具の刃物に付着したヤニの取り方についてご紹介したいと思います。

今回ヤニとりしたのは、先日の記事でご紹介した古いスライド丸のこに元々付いていた丸のこ刃とプロクソンの卓上テーブルソーの丸のこ刃、トリマービット、ドリル刃、手持ちの棒やすり等です。

こちらは綺麗にする前の丸のこ刃(大)

この丸のこが付いていたスライド丸のこは廃業した工務店の方から頂いたもので、チップの先にもかなりヤニがついていたので一度で取れるか不安でしたがひとまずかけてみました。
今回使ったヤニとりスプレーはこちらです。

アルスというメーカーのヤニとりクリーナーの方が有名かと思いますが、内容量と価格でこちらのAZ(エーゼット)社の製品を選んでみました。
レビューを見る限りでは効果に大きな違いはなく、こちらは容器には液漏れなどの不備があるというレビューもありましたが自分のものは特に問題ありませんでした。
Amazonから送られてくる時はビニールに入っていました。
刃物用のヤニとりスプレーは各社から出ているので今後色々使い比べてみようかと思っています。




プラスチック製の道具箱の蓋のくぼみに丸のこの刃を置き、スプレーしました。
汚れた液の中に流れ落ちてくれるのでちょうど使いやすかったです。

最初は刃の部分を中心にかけてみましたが、徐々に茶色いヤニがういてきました。


このままでは丸のこがマダラ模様になってしまうので、全面にスプレーをかけました。




刃の細かい部分を中心にスプレーで浮いていたヤニを擦り落とす為、要らなくなった歯ブラシを使って擦りました。

ある程度擦って取れるところまで取ったら泡をおとし、錆の予防の為椿油を塗布します。
下の画像を見ていただくとかなり綺麗になったのがわかると思います。

椿油は油壺(写真右上の黒い本体に赤いキャップがついたもの)に染み込ませておくと、鑿や鉋などの刃物に塗ったりするのに便利です。
手作りで作る場合は竹の輪切りにした筒にさらしなどの布を丸めて詰めてそこに油を染み込ませると、作業の合間に刃先に塗布しやすい物を作ることができます。
当店では黒薔薇本舗の刃物椿という商品を使っています。

こちらもスプレー式の物や内容にこだわった物などあり、上記のAZ社からも販売されています。



続いてプロクソンの丸のこです。
こちらは以前肥松(こえまつ)のお持ち込み材を加工した際のヤニがこびりついていたので結構ひどい状態です。
切れない刃物を回転させて切るのはモーターにも負荷がかかりますし、特にテーブルソーだとキックバックのリスクもあるので避けた方が良いです。

まずは丸のこの刃を外します。
刃口板を外すと下の画像の状態になります。

奥に見える定盤に刺さったドライバーは、丸のこの軸をロックする為にやっています。
棒を差し込みグルグル刃を回すとストンとハマるとこがあるのでそれで刃が動かなくなればロック完了です。
のこ刃の出が少ないとうまくロックできないので、その場合は正面の銀のハンドルでのこ刃を出していきます。
回転しない様になったら六角ボルトを回して、六角ボルトとフランジプレートを外しましょう。


上記の要領でののこ刃が外れました。
手前左下に見えるのがボルトとフランジ、真ん中の水色の棒が六角レンチです。

この六角レンチは自転車の整備や他の工具の調整でも大活躍です。

こちらが外したのこ刃です。よくもまぁここまでこびりついたな、というようなヤニの量です。
プロクソンのテーブルソー用ののこ刃は結構色々な種類もあり、刃を振らせて溝切りをするためのパーツも売られているので、調べてみると面白いです。
ホーザンもOEMの様な色違いの機種を出していた気がします。


既にスプレーして置いてあった丸のこ刃の上に載せて再度クリーナーをかけました。
下の盛り上がっている丸い物体が小さい方の丸のこです。
周りの部分が剥がれたヤニで茶色くなっています。

先程と同じようにクリーナーを拭き取り、油をひいた状態が以下の様子です。
驚く程綺麗になりました。

二枚とも機械にしっかりと取り付けして、試し斬りをしましたがとてもスムーズに切れ、バリなども出にくくなった気がします。
もう2台のスライド丸のこの刃も次回作業の合間にメンテナンスしようと思います。

最後にトリマーの刃です。
これはもうほとんど使っておらず、荒仕事や新建材などの熱で接着剤がこびりつく様な用途限定で使っていたのでかなりのヤニです。

この面取りビットもヤニがついていたのでベアリング部分を外して洗浄しました。


トリマービットもクリーニングして以下の様になりました。


今回はヤニ落としに限ってご紹介しましたが、どんな道具でもやはり手入れをしっかりしてあげることは大切ですね。
人間は道具を作りますが、人間の肉体だけでは木材の加工は出来ず道具に頼っています。
その点でも自分の使う道具に感謝し、大切にして管理することはとても大切だと考えています。

刃物を研いだり、油をさしたり、ボルトの増し締めをしたり、、、
そういった日々の管理をしていると、亀裂などがあれば大事になる前に防げますし、そのまま使って大事になる前に対処することもできます。
埃が付着しすぎて表面がわからないくらいになっているのもその点では危険を招くかもしれません。

そういえば、以前東京ディズニーリゾートのアトラクションをメンテナンスする技術部の人たちはビークル一台一台に名前を付けているときいたことがあるのですが精神的な理由だけでなく、実際のメリットも多いのかもしれません。
たまに工房から帰る時に工具に「お疲れ様」と声をかけたくなりかけてしまう時があります。自分が疲れてるんなら機械も疲れてるだろうなぁと思います。

普段と違う音がしていないか、動作がいつもと違って重くないかなど五感を使って機械の調子を感じることも大切だと思います。
ちょっとした気配りや観察で事故や怪我を防げる場合もあるかもしれません。

以前に造作丸のこを机に置いていたらコードを引っ掛けて落としてしまい、定盤が歪んでしまったことがありました。
その時はしばらく落ち込みました、、、(精度重視で購入したものだっただけに余計に)

日々の加工の中で時間に追われることも多く、全ての道具に対して満足に意識を向けてるかと自問すると胸を張ってYESとは言えません。
木工の世界の奥の深さというか面白さというのはまだまだ自分には全て測れてすらいないかとおもいますが、日々精進していきたいと思います。



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