しゃくり加工をDIYでする方法

前回の記事では、お持ち込みでご依頼いただいたしゃくり加工についてご紹介しました。
今回はDIYでしゃくり加工をする方法について簡単にご紹介していきたいと思います。


ここではDIYの範囲で使う工具に限定して検討していきたいと思います。
また、あると便利な工具もご紹介したいと思います。

①墨付け

まず、墨付け(加工部分のマーク)をします。
しゃくり加工をする部分に線を引いて、どこまで削るかマークします。
木口側にもどれくらい深く加工するかを示す線を引きます。
この墨付けの時にオススメの道具がいくつかあるのでいくつかご紹介します。


・ケヒキ
こちらは日本の伝統的な道具で、刃が2枚あるものや、固定方式がくさび式でなくネジ式のものなど色々種類があります。
薄い板などはケヒキで裏表から繊維を切ってそのまま切れ目に沿って木を割って製材したりします。




・ケガキゲージ
これは木工をされている方なら知ってる方も多いかもしれません。
ノギスの様に使いますが、先端部分が持ち手と垂直になっており、設定したサイズをそのまま写すことができます。
ノギスでも同じことができますし、この形状のノギスもあるといえばあるのですがケガキゲージの方が線をひける長さがあるマツイのケガキゲージは木工に向いていると思います。

サイズも何種類かあるので用途に合ったものを買うととても便利です。
当店では一番サイズが大きくて、先端にメモリが入ったものを何年もつかっていますが、とても便利でもう手放せなさそうです。
買うときは結構高いなぁと思っていたのですが、今ではなくてはならない存在で金額以上の価値は充分ありました。




 ・マーキングゲージ
こちらもケヒキと同じ用途で用いますが、主に西洋で使われているケヒキで丸い軸の先端に丸刃がついているのが特徴です。
高いものだと微調整用のノブが付いていたりします。


 


・白柿やデザインナイフ
こちらも木の繊維を切って印をつけることができます。
また、鑿を使って加工する際に白柿でつけた傷に刃をあてて削ることで、正確な加工をすることができます。




 ②印に沿って木を削る

・電動工具を使う方法
電動工具を使う場合は、トリマーという手持ちの工具が最も扱いやすく、値段の面でも販売している場所の多さでも手に入れ安いかと思います。
(トリマーは面取りなどでもつかえるので一つ持っているととても便利です)

トリマーは回転する刃物が機械の下に飛び台している形そしており、その回転する刃の出し具合で切削深さを決め、ガイド定規の位置で切削幅を決めます。
外側から少しずつ削っていけばしゃくり加工の出来上がりです。

この時、刃物の回転する方向と工具を動かす方向が一致してしまうと材料が飛んできたり、逆にトリマー本体が飛んできたりすることがあるので注意が必要です。
また、一度に深く削らず何度かに分けて削らないと抵抗が大きくなり危険でかつ綺麗に加工できない場合があります。
削る幅が大きかったりパワーが必要な場合などはルーターという、トリマーのさらにパワーがある物もあるので合わせて検討するのが良いかもしれません。

また、トリマーもルーターもテーブルに組み込むことによって、より安全に様々な加工ができる様になります。
このテーブルもご自身で作ることも可能ですし、オフコーポレーションなどの通信販売などで国内でも既製品として買うこともできます。

トリマー・ルーターテーブルの作り方について詳しく知りたい方はこちらの動画を観て頂くとイメージがつきやすいかと思います。(英語のYouTubeチャンネルに飛びます)
他にも色々解説している動画があるので、router table、DIY、how to makeなどの検索ワードで調べてみると色々気付きがあるかと思います。

ホームセンターなどでは5千円前後で手に入るトリマーもあるそうですが、とりあえずでなければ長く使えるものを買うのが個人的にはオススメです。
当店ではマキタのトリマーを使っています。内装工事や連続加工などでかなり酷使していますが全く異常もなく何年もがんばってくれています。
最近ではバッテリー仕様のトリマーもマキタから出たとのことで気になっています。
また、RYOBIというメーカーのトリマーは深さの微調整ができたり、ひっくり返しておくと自動で電源が切れたり、速度調整ができたりとても使いやすいそうです。次回買い足す時はこれにしようかと考えています。
(よく使うビットをつけっぱなしにしておけるだけのトリマー本体が用意できると作業効率がかなり上がるので、仕事で木工をやられてる方は沢山所有している人が多いです)



 因みに、他の電動工具で加工する場合以下の様な方法もあります。

A.溝切り(DIYで使う機会は多くない割に結構高いです)
B.ガイドをつけた丸のこ、もしくはテーブルソーで何度も加工カ所を切って一定の深さの切り込みを入れ、鑿でで残りを落とす


・電動工具を使わないで手道具のみで加工する方法
電動工具を使うと加工も早く便利ではありますが、DIYできる場所や予算、また安全面の問題もあり中々電動工具は使えない、という方も多いかとおもいます。音の問題も解決が難しいところです。
また、子供が工作する場合などは重たい工具を使うのは危険が伴うので、お子様とDIYを楽しまれている方は手道具のみで加工したいという方も多いのではないかと思います。

上記の様な消極的な理由ではなく、積極的に手道具を使いたいという方も多いと思います。
身体をうまくコントロールして道具を扱い、望む通りの加工ができた時はなんとも言えない満足感を得ることができます。
刃を研いだりして道具を管理する楽しみも手加工の醍醐味ですね。

さて、しゃくり加工を手道具で加工する方法は無数に考えられますが、鋸(のこぎり)鑿(のみ)、鉋(かんな)といった基本的な工具を使った加工法の一例をご紹介します。

まずは、印に沿って繊維に対して直角に切っていきます。(横切りといいます)
鋸を使って切っていくのですが、幅の広い板材の場合普通の木工用鋸だと切りにくいかと思います。
こういう時は畔引き鋸(あぜびきのこ)という鋸が便利です。
具体的な使い方はこちらのページ(格利という工具メーカーのサイトに飛びます)を見ていただけると分かると思うのですが、切りたいラインに当て木をして、鋸をぴったり当てた状態で必要な深さまで切り込みを入れていきます。
畔引き鋸のカーブのおかげで板の途中からでも切断することができます。

鋸で必要な深さまで切ったら今度は残りの取り除きたい部分を削っていきます。
上の写真の様に取りたい部分が小口であれば、小口側から鑿でついていくと簡単に取れるはずです。

不要な部分をのみで削り取ったら、今度は鑿で削り取った面を整えます。
墨付けの時の線を元にすべて鑿で作業しても良いですし、際鉋(きわがんな)等の各種鉋やハンドルーターなどを使っても良いと思います。

際鉋は通常の鉋と違い、刃が鉋台の側面まであるものです。
ハンドルーターは一定の深さで底ざらいができる手道具です。
際鉋やハンドルーターについては以下の動画(英語のYouTube動画に飛びます)をご覧いただくと参考になると思います。

際鉋
宮大工さんによる使用動画:https://youtu.be/dsLoMRQXwco
ハンドルーター
使い方:https://youtu.be/WouAHj8qcXY (3分頃にしゃくり加工をしている映像あり)
鑿を使った簡単な自作方法:https://youtu.be/B_2a_FwjAgk





さて、今回はDIYでしゃくり加工をするときに必要な道具や方法についてご紹介しました。
もし実際にやってみたいけど、工具の使い方がわからない、場所がないという方はお持ち込みの木材でDIY教室をすることも可能ですのでお困りの際は是非一度こちらの問い合わせページからご相談ください。

時間を見つけて実際の加工写真を撮って載せていきたいと思います。
※ここでご紹介した方法が全てではないこと、加工にあたってはすべて自己責任であることをご理解頂ければ幸です。


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