先日、当店にご来店頂き御自身で加工をされたお客様から、加工中に彫刻刀をお預かりし研ぎ直しを致しました。
その様子を簡単に動画にしてみました。
今回動画にしたのは裏押しという作業で、刃物の裏を平らにする作業です。
これをしないで刃物を表から研ぎ続けていると裏切れといって刃裏の裏すきの部分が刃先に現れてしまいます。
この裏すきが無ければ裏切れもないのですが、なぜすきをするのでしょうか。
西洋の鑿や彫刻刀には裏隙がなく、全鋼といって全て鋼でできています。
そのため裏すきもないので表から研ぎ続けることもできるのですが、裏を平らにしようと思おうと固い鋼の部分を磨がなくてはなりません。
その点裏すきがある日本の刃物の場合は、部分的にしか鋼がないので研ぎ下ろしやすいです。
鑿の様に裏を定規として使う場合はベタ裏といって裏すきの面積が減っていくことはある程度良しとする場合が多いですが、鉋の場合は糸裏といって極力裏すきを残す様にします。そのため、裏押しする前に裏出しといって金槌やヒッターで地金を叩草業をしたりします。(鑿でもベタ裏を嫌って幅広の鑿に裏だしする方もいます)
下の写真では刃先の裏がほとんどなくなっているのが分かると思います。
こちらの画像が裏押し後の様子です。
濃くなっている裏すきの部分が綺麗な形になっているのがわかるかと思います。
これでしばらくは表から研いでいっても大丈夫そうです。
大した内容ではないのですが、研ぐ前の切削音と研いだ後の切削音の違いをきいて頂ければ違いが分かるかと思います。
動画では1000番のダイヤモンド砥石による裏押しのみ紹介していますが、実際はこの後に裏も鎬面も仕上げ砥石まで当てています。
以下が動画です。
アドレスはこちら→ https://youtu.be/qT5_AM6E4g4
動画内で使用している砥石はナニワのダイヤモンド砥石1000番です。
曼荼羅屋さんという大工道具屋さんが紹介されいていた方法に倣って持ち手側の端にはイボタ蝋を塗り裏の形が研ぎ崩れて瓢箪(ひょうたん)の形になったりしない様にしています。
その他はシャプトンの刃の黒幕や仕上げに天然砥石を主につかっています。
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