グラント・イマハラ

 グラント・マサル・イマハラという(Grant Masaru Imahara)というエンジニアをご存知でしょうか。

この方はアメリカのディスカバリーチャンネルの超人気シリーズ「怪しい伝説」(MythBusters)のホストをしていた方で、2020年の7月13日に49歳で急逝されました。

自分がこの訃報を知ったのは久しぶりにMythBustersの動画でもみてモチベーションを上げようと思いYouTubeで動画を探していた時のことです。

最初は何かの悪い冗談かとも思ったのですが、本当の事だと分かり本当にショックを受けました。


自分がMythBusters のことを知ったのは、ケーブルテレビに契約していた家のテレビでよくディスカバリーチャンネルを観ていたからでした。

当時はYouTubeも普及しておらず、英語を聴きながら好奇心を満たしてくれる番組を観ることができるのが嬉しくてアニマルプラネットと一緒によく観ていました。

いつものように観ていると、いきなり(良い意味で)過激な実験番組が始まりました。

番組のテーマは、巷で実しやかに囁かれる怪しい伝説(Myth)を、特殊効果の専門家やエンジニア(MythBusters)が検証方法の検討から実験の実行まで全て行うというものです。

何度かホストの変更や構成の変更もありましたが、アダムとジェイミーというメインホスト2人と、キャリー、トリー、グラントの2チームがそれぞれ同時進行で2つのMythを検証していくという構成でした。


特に自分が惹かれたのは、検証方法を考え、実験装置を全て一から作るところです。

木工や溶接は全員が当たり前にできるとして、それ以外にも各人が得意な分野を活かし、時には(常に?)冗談を交えながら個性的なホストが一つのチームとなり一つのものを作り上げていく姿に心を鷲掴みにされました。

装置が想定通りうまく働かない時に、悔しがりながらも一から作り直したり装置の見直しと改善をしたりする姿や一生懸命作業を進める姿には尊敬の念を抱きました。

(今でも何か作業がうまくいかなかった時は彼らのトライアンドエラーの姿を思い出して励まされています)


そんなMythBustersの中でも特に印象的だったのが題名のグラント・イマハラでした。

彼は確か途中からの参加だったと思うのですが、エレクトロニクスの専門家でスターウォーズのエンジニアも務めた人でした。

彼の作る機械はもちろんですが、彼の一生懸命物を作る姿や周りのBustersからの信頼、そして何より実験が成功したり装置が完成した時の身体中を使った喜びの表現は観ているこっちまで嬉しくなりました。

MythBustersは惜しくも5年前に終了してしまいましたが、その後もウォルトディズニーイマジニアリングの人型アクロバティックロボットの開発にコンサルトとして関わったり、亡くなる3ヶ月前までは病気の子供たちを励ますためのアニマトロニクスのベビーヨーダ(ドラマ マンダロリアンに登場)を3ヶ月かけて作ったりと精力的に活動されていた様です。


長年の同僚であり、友人でもあった共演者のアダムがYouTubeチャンネルの「Tested」でグラントについて彼の死の翌日に話している動画がありました。


コスプレ仲間であり、テレビ以外の映画の現場においても良い仕事仲間であったそうで、涙なしには聞いてられない内容でした。

Testedでは色々なガジェットの紹介やアダムが1日で何かを作り上げるOneday buildというコーナーがありおすすめのチャンネルです。

(最近だとAvidCNCを使ったプラズマカッターとNCルーター複合機の製作が個人的に面白かったです)


以前はネットフリックスでも配信があったそうですが、科学は本来面白いものだと伝えてくれたMythBustersを日本で現在配信してるサービスが無いことはとても残念です。

そういえばNCISという人気ドラマの中でアビー・シュートという科学捜査のスペシャリストがMythBustersを観ていていて驚きましたが、実際彼らの影響で科学に興味を持った子供や大人は多かったのでは無いでしょうか。

5年前、番組終了を伝える公式のページに「うちの子供の夢はMythBustersになることだったのにどう伝えたら良いかわからない」といったコメントがたくさんあったのを思い出します。


最後に彼の死を偲んで作られたグラントの動画を以下にいくつか貼っておきます。



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