刃口埋め用に古い鉋台を頂きました。

先日、知り合いの木工作家さんから古い鉋台を頂きました。


ご実家で不要になった家具を当店の工房に頂いたのですが、その際に是非工房を見学したいとお願いしたところ快諾して頂きました。

山の麓にある自然豊かな環境に工房をお持ちで、木工についても色々伺うことができとても充実した時間でした。
工房内の写真も撮らせて頂いたのですが、公開する許可を得ていないので今後許可を頂いたら当ブログでご紹介できるかもしれません。

工具のこと、仕入れの事、加工法の事など色々お話を伺うなかで、鉋の刃口埋めにちょうど良い白樫の木を売ってくれるところを探しているとお話したところ、なんと不要になった鉋台を材料とり用としてお譲り頂きました。

その方はネットオークションなどで掘り出し物を探して鉋などを手に入れているそうなのですが、鉋刃だけ欲しいときに鉋台もついてくる事があるらしく、いくつか使っていない鉋台があるとのことで頂きました。

一つは鉋台そのまま、もう一つは半分に切ったものです。




こちらは半分に切ってあった方です。
こちらはもともと刃口埋めしてあったものらしく、断面の矢印で指したところを見ると刃口埋めの様子もよくわかります。



ところで、鉋の刃口埋めとはなんでしょうか。

刃口埋めについて見ていく前に、日本の鉋の使い方についてみていきましょう。
日本の鉋は西洋で一般的に使われている鉋と違い、鉋の刃を木の台に仕込みます。

木材は湿度や温度などの環境変化や木工材内部の水分が蒸発していく過程で反ったりねじれたりしていきます。
これと同じことが鉋台につかわれる木材においても起こります。

鉋台につかわれる台は狂いにくく適度な固さの樫(かし)の木の安定した部分を使うことが多いですが、それでも環境の変化で木が反っていきます。
鉋台が反って形が変わってしまうと思うよに使えなくなります。

その際に鉋の材料に当たる部分を削っていくのですが(こちらの過去記事に鉋の下端を調整している様子を載せたので興味がある方は是非ご覧ください)、その調整を何度もしていると刃口と呼ばれる鉋の削り屑が通る部分がどんどん広くなっていきます。
下の画像の矢印で指したところが刃口です。


荒削り用の鉋であれば刃口が広がってもあまり影響ないのですが、特に仕上げ削りで使う鉋はこの刃口の狭さが大事で、ここが広がりすぎると木の繊維にそって木がめくれてしまったりします。
そういう訳で、広がってきた刃口を埋めるために別の樫材から木取りした小さな樫材を鉋の広がってきた刃口に埋める必要が出てきます。

下の写真は仕上げの鉋の刃口です。
上の画像とみくらべる狭いのがわかると思います。


バタバタしていてなかなか刃口埋めをする時間が取れていないのですが、道具の手入れも仕事の内なので近々時間を取ってやりたいと思います。
その際は写真を取って、こちらのブログでもご紹介したいと思います。



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